Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
の前に並べる料理を眺めていた。
「何にも食べない。」
彼女は微かに目で食べないと答えたらしかったが、庸三が心持不味そうに食事をしていると、葉子はひりひりした痛みを感ずるらしく、細い呻吟声を立て、顔をしかめた。彼は硬い表情をして別のことを考えていたので、振り向きもしなかった。
「人がこんなに苦しんでいるのに、平気で御飯たべられるなんて、何とそれが老大家なの。」
庸三はぴりッとした。そしてかっとなった。彼は食事もそこそこに食卓を離れて、散らかった本や原稿紙と一緒に着替えをたたんで鞄に始末をすると、袍をぬいで支度をした。
「おれも君の看護に来たんじゃないんだ。いい迷惑だ。独りでやるがいいんだ。」
庸三はぷりぷりして、電話で汽車の時間をきくと、煙草にマッチを摺りつけた。番頭がやって来て、
「お帰りでございますか。」
「ちょっと用もできたから。」
番頭は急げば最終のに間に合うがと、少し首を傾げていたが、庸三はじっとしてもいられなかった。自動車の爆音がしたので、彼はインバネスを着て、あたふたと部屋を出たが、車が走りだしてから、彼は何か後ろ髪を引かれる感じで、この場の気まずさを十分知りながらも、汽車に間に合わないことを半ば心に念じた。