Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
「退屈したろう。」
均平が帽子を取ると、
「そんなでもない。」
と素気なく言ってすぐ入口にまごついている加世子に目を見張った。この眼も若い時は深く澄んで張りのある方だったが、今は目蓋にも少し緩みができていた。
「お嬢さんでしょう。」
「そうだよ。上諏訪へ遊びに行くというから、連れて来たんだ。あすこは病院だけは素敵だが、何しろ荒い山で全くの未懇地だ。」
そう言って均平が、振り返ってにやり笑うので、加世子も口元ににっこりして、照れくさそうに父の側へ寄って来た。
「いらっしゃい。」
銀子もざっくばらんに挨拶した。彼女は客商売をしたに似合わず、性分としてたらたらお愛相のいえない方であった。好いお嬢さんねとか、綺麗ねとか肚に思っていても口には出せないのだった。
「均一さんは。」
「心配するほどのこともなさそうだよ。」
「ここも一杯よ。一番上等の部屋が一つだけしかなかったんですの。でも皆さん食事は。」
「あすこのホテルではひどいものを食わされて、閉口したよ。昼はこっちで食うつもりで。」
銀子も食堂の開くのを待っていたところなので、ボオイに四人分用意するように頼み、揃って食卓に就いた。