Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
しかし庸三自身にしても、彼女に園田のような輝かしい前途をもっている青年との結婚生活に入るに当たっては、ぜひとも葉子に要望しなくてはならないはずのもので、その覚悟次第で、この問題を解決するわけだが、しかしそうした葉子の新生活への心構えや決心については、真実のところ庸三の手にも鍵が握られてあるわけではなかった。鍵は葉子自身のうちにあるはずであった。もしも庸三が保証の立場におかれるとしても、責任をもつわけにも行かないと同時に、葉子の生活の方嚮を、無理な急角度で転向させようとすることも無意味であった。それは葉子という一人の存在を亡くするというのと同じことであり、従って現在の狂熱的恋愛の発生もないはずであった。
しかし一方また庸三は別の甘い考え方ももっていた。それは相手次第によっては、彼女もまた日常の万事に気のきいた楽しい家庭婦人となりうるのではないかと思われた。編み物に刺繍、そんなことも好きであった。ちょっと雑誌を見ただけで、どんなむずかしい編み方も頭へ入れたし、部屋の装飾や料理にも彼女自身の趣味があった。読書も好きであった。文学の才能も、世間で見くびっているほど低劣ではなかった。