Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
葉子は当惑した。
「じゃあちょっと待っていただいて……。」
彼女は女中を手伝って、急いで寝道具を取り片づけ、ちょっと鏡台の前へ行って、顔を直してから、廊下へ出て来客を出迎えた。
朝の九時ごろであった。庸三はまだ全くは眠りから覚めないような気分で、顔の腫れぼったさと、顔面神経の硬張りとを感じながら、とにかく居住いを正して煙草を喫かしていた。
脊の高い背広服の紳士が入って来た。颯爽たる風姿で、どこか、庸三が昔から知っている童話の老大家の面影に似通った印象を受けたが、彼は、自分流にずうずうしく落ちついていた。
茶盆や水菓子の鉢などが散らかっていた。それに一人の女中が、のろのろと敷布団を廊下へ運び出していたらしいので、何かばつが悪かった。
「こちらが黒須さんですの。」
葉子の紹介につれて、二人は簡単な挨拶を取りかわしたが、何か妖気の漂っているような部屋を、黒須は落着きのない目で見まわしていたが、相当興奮もしていた。
「いや、実は葉子さん、貴女が稲村さんに逢ってくれというもんだから、わざわざやって来たんですがね。」
これじゃどんなものだかと言った意味の断片的な言葉を口にしながら、険しい目で庸三を見おろしていた。