Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
朝はまだ早かった。秋らしい光線が、枝葉のやや萎えかかった銀杏の街路樹のうえに降り灑ぎ、円タクのげて行く軽い埃も目につくほどだった。旅館は新宿のカフエ街の垠れの細かい小路にあったが、いつか一度泊まったこともあるので、すぐ円タクを手前まで乗りつけることができたが、車をおりて前まで歩いて行くと、上から葉子の呼ぶ声がした。見あげると手摺に両手をついて、下を見ながら笑っていた。
新しいだけに旅館の感じは悪くはなかった。それに彼女はどこへ行っても、番頭や女中に好感をもたれるのだった。
「びっくりした?」
「いや大して。」
見るとスウトケイスや、唐草模様の風呂敷包などが、大小幾つとなく隅の方に積まれ、今着いたばかりだというふうだった。
「どうしたんだい。」
「ううん、着いて間もなくお母さんと喧嘩しちゃったのよ。手当り次第汚ない下駄を突っかけたまま、飛び出して来たものなのよ。」
「瑠美子は?」
「泣いて追い縋って来るから、瑠美子も一緒よ。下で北山さんとお風呂に入っているところよ。」
看ると横に細長い見馴れぬ時計が彼女の腕に虫みたいに光っていた。
「そんなもの買ったのか。」
庸三は咎めるように言った。