Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
」
「どうせ目つけるなら大物に限るのよ。」
「私じゃ駄目だわ。お姉さんの真似できないわ。」
彼女は煙草の煙を吐いていた。
「恐るべき女たち。」
庸三は思いながら蒲団をかぶった。
秋もようやくたけなわなころに、二人は紅葉を探りに二三日箱根へ旅してみたが、帰って来たころには、葉子の懐ろも大分寂しくなっていた。
二人は燃え立つ紅葉の錦に埋まっている、小涌谷の旅館に落ちついたが、どうせそのうちに低気圧は来るものとして、今日の日は今日の日だと肚をきめている庸三も、どうかすると薊の刺のようなものの刺さって来るのを、いかんともすることができなかった。ある時は少年のように朗らかに挙動い、朝の森に小禽が囁るような楽しさで話すのだったが、一々応け答えもできないような多弁の噴霧を浴びせかけて、彼を辟易させることがあるかと思うと、北の国の憂鬱な潮の音や、時雨らんだ山の顰みにも似た暗さ嶮しさで、彼を苛つかせることもあり、現実には疎い文学少女でありながら、商売女のように、機敏に人を見透かしもするのであった。
どうかすると、愛人がこの旅館のどの部屋かに来ているような感じを抱かせる挙動を見せたり、後の思い出に、最期の時をとにかくしばし楽しく過ごそうとしているような口吻を洩らしたりした。