Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(七) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 371.916 Zeichen · 744 Bildschirme
その中に、馬良の弟、馬謖もいた。瞼を紅く泣きはらした馬謖のすがたは傷々しく見えた。
玄徳は、ふと問うた。
「丞相は、馬謖の才を、日頃からどう観ておるか」
「末たのもしい若者。将来の英雄と見ておりますが」
「いや、病中親しく見ておるに、ことば実に過ぎ、胆量才に劣り、行く末、難しい者と思われた。心して用いられよ」
と、平常のごとくそんなことを語ったりしていた。しかし黄昏れ近く、にわかに容態が改まったと思うと、
「諸臣はみな詰めておるか」
と問い、孔明が臣下みな一睡もせず詰めております――と答えると、
「では、病帳を開け」
と命じて、龍床から一同のものへ最後の謁を与えた。そしてまた、
(太子劉禅に与うるの遺詔)
を諸臣にあずけ、かならず違背あるなかれと告げよと云い終ると、ふたたび眼をとじていたが、やがて孔明にむかい、
「朕、賤土に育ち、書は余り読まなかったが、人生の何たるやは、この年までにほぼ解したつもりである。もういたずらに歎くをやめよ」
といい、何か最期の一言を告げんとするらしく、その唇はおごそかに息をととのえていた。
二
玄徳と孔明の仲も、今や両者の幽明の境は、わずか幾つかの呼吸をする間しかなかった。