Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(七) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 371.916 Zeichen · 744 Bildschirme
「そうか、地の利を得なかったためか」
「誤まって生擒られたが、たとえ身は縛し得ても、俺の心は縛し得まい」
「汝も時には、うまいことをいう。心から服さぬものは是非もない。縄を解いて放してつかわそう」
そういったら、たちまち情に打たれて面もやわらげ、急に生命をも惜しむか――とながめていると、孟獲の場合はまったく正反対であった。
「ようし。もし俺の縄を解いて放して帰すなら、きっと兵力を立て直して、ふたたびうぬと雌雄を決してみせる。尋常に戦えば、うぬらに負ける孟獲じゃあない」
「おもしろい。ふたたび来て、ぜひ戦え。孔明も汝が心から服するまで戦うであろう」
彼は、武士に告げて、孟獲を解いてやれといった。これを知って営中の諸大将は動揺した。せっかく捕ったものを――と残念がる者、いいのかしら? ――と不安がる者、さまざまな感情がそこへ反映したが、孔明は少しも意にかける容子とてなく、酒を取り寄せて、
「飲んで帰れ」と、孟獲にすすめていた。
初めは、非常に疑っている顔いろだったが、同じ酒壺の酒を孔明も共に飲んで他事なく話しかけるので、孟獲も果ては大盃でがぶがぶ飲み乾した。そして営門の裏から送り出されるや、罠を脱した猛虎が洞へ急ぐように、後も見ずに何処かへ消えて失くなった。