Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(七) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 371.916 Zeichen · 744 Bildschirme
この晩、いちど退いたかとみえた呉軍が夜半にまた、四面の野や小屋に火をはなって、夜襲して来た。
遠征の疲労にあった魏の兵は、不覚にも不意をくって、呉の勢に馳け破られ、おびただしい死者をすてて総軍五十里ほど陣を退くのやむなきに立ち至った。
「われながら、まずい戦」
曹操は悶々、自己を責めた。幾日かを空しく守りながら陣小屋の内にかくれて、じっと軍書にばかり眼をさらしていた。
なにか、天来の妙計を、それから求めようとしている悶えがわかる。跫音をしのばせて、そっと入ってきた程が、
「丞相。おつかれではありませぬか」と、声ひくく慰めた。
「……おお、程※(「日/立」、第3水準1-85-21)か。呉の堅陣に対して打つ手がない。初手の戦も、彼の攻勢に、味方はようやく防いだのみだ」
「そもそも。このたびのご出陣は遷延また遷延をかさね、ちと遅すぎました。ゆえに呉は国防に全力を賭し、その期間に濡須の堤まで築いてしまった程です。如かず、一応引揚げて、ふたたびご出征を図られてはどうですか」
その晩、曹操は、ふしぎな夢を見た。焔々たる日輪が雲を捲いて、空中から大江の波間に落ちたとみて眼がさめたのである。