Japanische Klassiker mit Furigana
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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
Lesen Sie 任侠二刀流 (にんきょうにとうりゅう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 224.569 Zeichen · 451 Bildschirme
あっ、笑った! ううむ笑った! これ三弥、紋右衛門、早く参ってひっ捉えろ!」
「はっ」と云うと駈け下りた。
と、女は歩き出した。
「逃げる逃げる! これはいけない! 行ってしまった! 残念千万!」
捉えようとすれば現われず、現われても素早く逃げてしまう。ただ見ていれば現われて来る。そうして艶然と数笑する。十日というもの続いたのである。
宗春次第にイライラして来た。
「是非とらえろ! 是非とらえろ!」
だがどうにも捉えることが出来ない。だんだん心が狂気じみて来た。
心配し出したのは三弥と紋右衛門。
「狐狸ではないかな、あの女は?」
「まさか日中に化けもしまい」
「殿の様子が大分変った」
「困ったことだ、何か起こるぞ!」
はたしてある夜罪もないのに、愛妾の一人を手討ちにした。数日経つとまた一人!
それで毎日時刻が来ると、天主へ上って行くのである。
「うむ、見える! 美しいものだ!」
ホ――ッと溜息を吐くようになった。
「どうでも捉えろ! どうでも捉えろ!」
で、密々手筈をし、待ち構えていると出て来ない。宗春だんだん兇暴になった。
それはある夜のことである。
「三弥、紋右衛門、従いて参れ!」