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Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme

Aozora Bunko

「いかがです、前線座見ませんか。」

映画狂の銀子が追い縋るようにして言った。彼女は大抵朝の九時ごろから、夜の十一時まで下の玄関わきの三畳に頑張っていて、時には「風と共に去りぬ」とか、「大地」、「キュリー夫人」といった小説に読み耽るのだったが、デパート歩きも好きではなかったし、芝居も高いばがりで、相もかわらぬ俳優の顔触れや出しもので、テンポの鈍いのに肩が凝るくらいが落ちであり、乗りものも不便になって帰りが億劫であった。下町にいた十五六時代から、映画だけが一つの道楽で、着物や持物にも大した趣味がなかった。均平も退屈凌ぎに一緒に日比谷や邦楽座、また大勝館あたりで封切りを見るのが、月々の行事になってしまったが、見る後から後から筋や俳優を忘れてしまうのであった。物によると見ていて筋のてんで解らないものもあって、彼女の解説が必要であった。

「さあ、もう遅いだろ。」

「そうね、じゃ早く帰って風呂へ入りましょう。」

銀子はでっくりした小躯だが、この二三年めきめき肥って、十五貫もあるので、ぶらぶら歩くのは好きでなかった。いつか奈良へ旅した時、歩きくたぶれて、道傍の青草原に、べったり坐ってしまったくらいだった。