Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
棟かの母屋や土蔵も目に浮かんだりして、ああいった人たちはやはりああいった大家でなくては縁組もできないものなのかと、考えたりもした。
二三日すると銀子もようやく決心がつき、家へ手紙を書いたが、そうなるとせっかく馴染んだこの土地も、見るもの聞くものが、不愉快になり、東京から人の来るのが待遠しくてならず、気を紛らせに、家へ遊びに来る写真屋を誘い出して、最後の玉稼ぎに料亭へ上がったりした。写真屋は倉持が結婚してからは、好運が急角度で自分の方に嚮きかえり、時節が到来したように思われ、大島の対の不断着のままの銀子を料亭の庭の松の蔭に立たせて、おもむろにシャッタアを切るのだったが、二階へあがって来ると、呑めもせぬ酒を注ぎ、厳かな表情で三々九度の型で、呑み干したり干させたりした。
「そんなことしたって、私貴方の奥さんにならないわよ。」
「いや、僕はおもむろに時機を待つですよ。」
銀子もこの辺がちょうど好い相手かとも思い、彼のいう通り、誠意に絆される時機が来るように思えたりもするのだったが、差向いでいると、どうにも好感がもてず、「こん畜生!」とつい思うのであった。
ちょっと引っ係りのあった、芳町の芸者屋の主人が、看板借りの年増を一人つれて、新潮楼で銀子を揚げ見したのは、銀子が桂庵へ手紙を出してから、四日目の昼過ぎであった。