Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
通りにして、その日の場所を都合してもらうことにした。
「ああ、晴ちゃんですか。今日はどこも一杯ですが、あんたのことだから、まあ何とかしましょう。」
その年ももう十一月で、銀子もほとんど健康を恢復し、疲れない程度で、気儘に座敷を勤めていた。錦糸堀でも、裏に小体な家を一軒、その当座時々躰を休めに来る銀子の芸者姿が、近所に目立たないようにと都合してあるのだったが、今はそれも妹たちが占領していた。
「やあ晴ちゃん、病気してすばらしく女っぷりがあがったね。助かってまあよかった。」
長く姿を見せなかった銀子を、初めて見た箱丁は誰も彼もそう言って悦んでくれたものだったが、それほど躰が、きっそりして、お神が着物を造るたびに、着せ栄えがしないと言っていつもこぼしていた彼女の姿も、いくらか見直されて来た。
劇場では、入って行くとすぐ、そこらを忙しそうに徘徊していた瀬川が見つけ、
「いらっしゃい。さっきはお電話で恐縮でした。場所も私の無理が通りまして、一番見いいところを取っておきました。さあどうぞ。」
と先に立ち、幕明き前のざわつく廊下を小股にせかせか歩きながら、棧敷の五つ目へ案内し、たらたらお世辞を言って、銀子の肩掛けをはずしたり、コオトを脱がせたり、行火の加減を見たりした。