Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
や庭のたたずまいにも、何か神秘めいた陰影を塗り立てて、そんなことを話すのであった。
夜が更けて来た。やがて障子がしらしらと白むころに、二人は腐ったように熟睡に陥ちた。
時雨らんだような薄暗さのなかに、庸三は魂を噛いちぎられたもののように、うっとりと火鉢をかかえて卓の前にいた。葉子はお昼少しすぎに床を離れて風呂へ入ると、次ぎの間の鏡台にすわって、髪や顔を直してから、ちょっと庸三の子供たちを見て来るといって、接吻をも忘れずに裏木戸から幌がけの俥で帰って行ったのであった。庸三は乾ききった心と衰えはてた肉体にはとても盛りきれないような青春を、今初めて感じたのだったが、そうしてぼんやり意識を失ったもののように、昨夜一夜のことを考えていると、今まで冬眠に入っていた情熱が一時に呼び覚まされて来るのを感じた――それに堪えきれない寂しさが、彼を悲痛な悶えに追いこむのであった。――透き徹るような皮膚をしたしなやかな彼女の手、赤い花片に似た薄い受け唇、黒ダイヤのような美しい目と長い睫毛、それに頬から口元へかけての曲線の悩ましい媚、それらがすべて彼の干からびた血管に爛れこむと同時に、若い彼女の魂がすっかり彼の心に喰い入ってしまうのであった。