Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
咲子のより小さいので、葉子も瑠美子も悦ばなかったが、庸三はそれでいいというふうだった。
庸三はずっと後になるまで――今でも思い出して後悔するのだが、ある日葉子と子供たちを連れ出して、青葉の影の深くなった上野を散歩して、動物園を見せた時であった。そのころ父親の恋愛事件で、学校へ通うのも辛くなっていた長女も一緒だったが、ふと園内で出遭った学友にも、面を背向けるようにしているのを見ると、庸三も気が咎めてにわかに葉子から離れて独りベンチに腰かけていた。と、それよりもその時に限って、何かめそめそして不機嫌になった咲子を見ると、初めは慈愛の目で注意していたが、到頭苛々して思わず握り太な籐のステッキで、後ろから頭をこつんと打ってしまったのであった。
それから間もなく、ある朝庸三が起きて茶の間へ出ると、子供はみんな出払って、葉子が独り火鉢の前にいた。細かい羽虫が軒端に簇がっていて、物憂げな十時ごろの日差しであった。いつもの癖で、起きぬけの庸三は顔の筋肉の硬ばりが釈れず、不機嫌そうな顔をして、長火鉢の側へ来て坐っていた。子供の住居になっている裏の家へ行っていると見えて、女中の影も見えなかった。