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Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme

Aozora Bunko

彼は狐に憑かれた男のように、葉子の幻に取り憑かれていた。そして無論いるはずもないことに気がつくと、今度は一旦彷徨い出した心に拍車がかかって、急いでそこを出ると、今度は上野駅へ行ってみるのであったが、ちょうど東北本線の急行の発車が、夜の七時何十分かのほかにないことが解ると、自分のしていることがにわかに腹立たしくなって、急いでそこを出てしまった。

夜になってから、彼は葉子の母に当てて問合せの電報を打ってみたが、

ヨウコマダツカヌ

という返電の来たのは、その夜も大分更けてからであった。

ある晩庸三は子供の庸太郎と通りへ散歩に出た。彼はせっかく懐ろへ飛びこんで来た小鳥を見失ったような気持で、それから先の、格別成算がついているわけでもないのに、ひたすら葉子の幻を探し求めてやまないのであった。庸三が今まで何のこともなく過ぎて来たのは、人間的の修養が積んでいるとか、理性的な反省があるからというのでは決してなかった。ただ生い育って来た環境の貧弱さや、生まれつきの愚鈍と天分の薄さの痛ましい自覚に根ざしている臆病と、そういった寂しい人生が、彼の日常を薄暗くしているにすぎなかった。