Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
「きいてみよう。」
庸三もその気になって、入口の閾を跨いで訊いてみた。年増の女中が店に立っていて、
「梢さんですか、あの方昨日ちょっと見えましたよ、いつもの処へ仕立物を取りにおいでになって……。」
「どこにいるでしょう。」
「さあ、それは知りませんですよ。」
いつもの仕立屋さんというのは、妻が長年仕立物を頼んでいた、近所の頭のお神さんのことで、庸三も疳性のそのお神さんの手に縫ったものを着つけると、誰の縫ったものでも、ぴたり気持に来ないのであった。葉子も二三枚そこで仕立てて腕のいいことを知っていた。
その話をきいているうちに、庸三はにわかに弱い心臓が止まるような感じだった。
「つい家の側まで来ていて……。」
それが一時に彼を絶望に突きやった。そしてふらふらとそこを出て来ると四辺が急に暗くなって、子供の手にも支えきれず、酒屋の露地の石畳のところにぐんなり仆れてしまったのだった。脳貧血の発作は彼の少年期にもあったが年取ってからも歯の療治とか執筆に苦しむ時などに、起こりがちであった。病院の廊下で仆れたり巷の雑踏を耳にしながら、ややしばし路傍に横たわっていたりしたこともあった。