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Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme

Aozora Bunko

恰好のつかない感じだった。潔くここを引き揚げたい気持もしながら、やっぱり思い切りが悪く、後ろ髪を引かれるのであった。一度かかった係蹄から脱けるのは、彼にとってはとても困難であった。彼は自身の子供じみた僻みっぽい魂情を、いくらか悔いてもいたが、とかく苦悩と煩いの多いこの生活を、一気に叩きつけるのも、彼女に新らしい恋愛もまだ初まっていない、こんな時だという気もしていた。しかしそういう時はまたそういう時で、とかく切り棄てにくいのであった。嫉妬は第三者が現われたときに限るのではなかった。葉子のような天性の嬌態をもった女の周囲には、無数の無形の恋愛幻影が想像されもするが――それよりも彼女自身のうちに、恋愛の卵巣が無数に蔓っているのであった。

不用意にも、ちょうど彼は財布が少し心細かった。葉子のところへ行けば何でもないことだったし、宿へ断わって出ればそれでもよいわけだったが、世間の非難と嘲笑を一身に集めたような葉子との関係にも、肩身の狭い思いがしているので、少しばかりのことで気まずい思いをするのもいやだった。些細なそんな拘泥も手伝って、彼は朝飯もろくろく喉へ通らなかった。