Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
しかも勘定を取ってみると、それを払ってチップをやっても汽車賃には事欠かないほどだった。彼は葉子のところへ行く口実もなくなったのに少し力を落としながら、やがて自動車を呼んでもらった。
表に爆音が聞こえて来た。庸三は葉子に黙って帰るのも悪いような気もしながら、彼女の家のある狭い通りを左に見て、今ごろは彼女たち三人と子供とで何をしているかと想ってみたりして、流れに沿った道を通って行った。
汽車に乗ってみると、彼の気持もようやく落ち着いて来た。いつものように傍に葉子のいないのを物足りなく感じながらも、憂鬱な囹圄から遠のいて来た心安さもあった。
家へ帰って書斎へ入ると、彼は半病人のような体の疲れと衰えを感じて、何はともあれ床をのべさせて横たわると同時に、女中に命じて日頃かかりつけの渡瀬ドクトルにいつものように来てもらった。
やがてドクトルは糊に硬張った診察着でやって来て、ベッドの傍に膝をついて聴診器をつかいはじめた。
「私も女関係で苦しむものですから……。」
庸三がきまりわるそうに呟くと、ドクトルも苦笑して、
「なに、結構ですよ。」
「少し熱っぽい感じですが。」