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Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme

Aozora Bunko

並んで暗黙でクッションに腰かけていた。乗客はいくらもなかった。

夜更の逗子の町は閑寂していた。彼は、この挙動が何か心の余裕をもっているように見えて、その実仮借のないあさましいものだことに十分気がついていたが、思いのほか町の更けているのを見ると、一層それがはっきりするようで、内心来たことを悔いる心にもなっていた。むしろホテルで一泊して、明日のことにでもしようかと思ったのだったが、一旦行動に移された彼の荒い感情を抑制することは困難であった。

「お前はホテルで一部屋取って待っておいで。」

庸三は少し手前で自動車をおりてから、門の前まで来ると、庸太郎と青年権藤に言った。門にさわってみると、戸はもう鎖されていた。庸三は近所を憚るように二三度叩いてみたが返辞がないので少し苛々して来た。彼はいきなり戸の梁に手をかけると、器械体操で習練した身軽さで跳びあがり、一跨ぎに跨いで用心ぶかく内側へおりて行った。そんな早業ができようとは今の今まで想像もしなかったし、しようとも思っていなかった。

「おい、おい。」

庸三は暗い茶の間の窓の下から、袖垣で仕切られた庭の方へまわって、縁側の板戸ぎわに身を寄せて、そっと声をかけたが、やがて、葉子の声がして板戸が一枚繰りあけられた。