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Japanische Klassiker mit Furigana

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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme

Aozora Bunko

」

帰りの自動車のなかで、友人は話すのだった。

葉子の今度の電話では、彼女は都合によって田舎へ帰ることになったから、立ちがけにちょっと話したいこともあるので、上野駅前の旅館大和屋まできっと来てくれるようにというのだった。その時分になると、庸三の心持にも落着きが出来ていた。町はまだいくらか暑かった。庸三はいつもの塵除けを着て、握り太の籐のステッキをもっていたが、二つ三つの荷物のごろごろしている狭い部屋に迎えられて、葉子と侍女の女美術生北山とのあいだにどっかと坐った。彼は今はすべてが夢だという気がしていた。田舎へ帰るというのも、さっぱりした感じだった。何かインチキがありそうに、今さら田舎へ引っ込むことになった心境と理由についての、涙まじりのくどくどしい説明も、取ってつけたような彼女の鼻元思案のように思えたが、彼はにやにやしながら、ただ頷いていた。

「今日はどうしてそんなに笑ってばかりいるの?」

葉子は神経質に詰った。

「何でもないよ。何となくせいせいした気持なんだ。」

葉子の言うのでは、母も取る年だから、この上の苦労はさせたくない。家の収入も減ったので、かつての庸三のぺンを執ったあの離房も、人に貸すことになったし、この際少しお金をあげたいと思う。