Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lesen Sie 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 327.364 Zeichen · 638 Bildschirme
彼女の美貌ほどに彼女の文学に興味はもてなかったが、しかし風にも堪えない野の花のようなその情趣や感傷の純粋さは認めないわけに行かなかった。筋やテイマを話しながら、彼女は草稿を見せた。庸三はコーヒを呑みながら、一枚々々読んで行った。どうかすると驚嘆するような老劇作家と師弟関係の若い愛人の女優との同棲生活の新鮮な描写があるかと思うと、うらぶれて放浪の旅から帰って来て、先輩であるその老劇作家のもとに身を寄せている青年と、昔、恋愛模様のあったその女優との熱烈奔放な恋愛場景があったりして、ちょうどそれが雨のふるかつての一夜の出来事を彷彿させるような面白い芝居に出来ていた。モデルがはっきり誰であるとも示すこともできないように、彼女一流の想念の花で粉飾されてあった。
「どう?」
葉子は庸三の顔を覗きこむようにして訊いた。
「そうだね。」
「駄目?」
「でもあるまい。」
間もなく浄書がはじまり、一人の助手が部屋に現われた。助手は新進のブロレタリヤ作家の夫人で、その名は庸三も耳にしていたが、紹介されてみて、その純良な婦人であることが解り、そういう仕事もいくらかの生活の補いになるのだと聞いて、その心掛けに敬意を払わないわけに行かなかった。