轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年1月号~1926(大正15)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 243,807 字 · 482 页
連れの一人は驚いて、
「あ、しばらく」
と、不自由な足を、杖に縋って起こしかけると、一人の武士が、
「邪魔するな」
はッたと睨んで、虚無僧の杖をグイと引いた。と、引いた途端に、杖は鞘のように、スルリと抜けて、虚無僧の手には、冷々たる隠し刀の抜身が残った。
「あッ」
驚いて跳び退こうとしたがもう遅い。
堪忍袋の緒を切って、きっと、唇を噛んだ虚無僧は、飛鳥の如く躍りかかって、その一人をまッ二つに斬り据えた。
「や、この命知らずめ」
たちまち、乱離の白刃に、わッと揚がる動揺み声、不具の虚無僧と女虚無僧は、背中合せに、互の身を庇い合いながら、七、八人の荒くれ武士を向うに廻して、きっと構えをつけ澄ます。
落花紛々、その下にも、今にも散らされそうな二つの命――
「ああひどい目に会った」
「あんな所へ寄り集って盲滅法の飛ばッちりでも食った日にゃ、いい面の皮だ」
ほうほうの態で、大師堂の茶屋へ帰って来たさっきの客は、ちょっとのぞいて来た虚無僧と侍の斬り合いを亭主に話して聞かせたが、その話がまた、輪に輪がかかっていかにも物々しい。
「へえ、じゃ何ですか、対手は山手組の侍八、九人で、こっちは女の虚無僧に足の悪い連れですって、おやおや、それじゃとても助かりっこはないでしょう」