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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

吉川英治『三国志(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志、三国志。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 页

青空文庫

おそらく先生の高風に化されたものでありましょう。なにをいうにも、ここは路傍ですから、すぐそこの茅屋までお越しください」

と、誘えば、

「おお、お供しよう」

関羽も歩み、張飛も肩を並べ、共にそこからほど近い劉備の家まで行った。

劉備の母は、また新しい客がふえたので、不審がったが、張飛から紹介されて、関羽の人物を見、よろこびを現して、

「ようぞ、茅屋へ」と心から歓待した。

その晩は、母もまじって、夜更けまで語った。劉備の母は、劉家の古い歴史を、覚えている限り話した。

生れてからまだ劉備さえ聞いていない話もあった。

(いよいよ漢室のながれを汲んだ景帝の裔孫にちがいない)

張飛も、関羽も、今は少しの疑いも抱かなかった。

同時に、この人こそ、義挙の盟主になすべきであると肚にきめていた。

しかし、劉玄徳の母親思いのことは知っているので、この母親が、

(そんな危ない企みに息子を加えることはできない)

と、断られたらそれまでになる。関羽は、それを考えて、ぼつぼつと母の胸をたずねてみた。

すると劉備の母は、みなまで聞かないうちにいった。

「ねえ劉や、今夜はもうおそいから、おまえも寝み、お客様にも臥床を作っておあげなさい。