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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

吉川英治『三国志(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志、三国志。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 页

青空文庫

六

――さ。これから改めて、劉備どのの家へお目にかかりに行こう」

「いや。劉備どのなら、そこにいる」

「え? ……」

雲長は、張飛の指さす所へ、眼を振り向けた。

劉備は最前から、少し離れた所に立っていた。そして、張飛と雲長との二人の仲の睦まじさと、その信義に篤い様子を見て、感にたえている面もちだった。

「あなたが劉備様ですか」

雲長は、近づいて行くと、彼の足もとへ最初から膝を折って、

「初めてお目にかかります。自分は河東解良(山西省・解県)の産で、関羽字は雲長と申し、長らく江湖を流寓のすえ、四、五年前よりこの近村に住んで、村夫子となって草裡にむなしく月日を送っていた者です。かねてひそかに心にありましたが、計らずも今日、拝姿の栄に会い、こんな歓ばしいことはありません。どうかお見知りおき下さい」

と、最高な礼儀をとって、慇懃にいった。

六

劉備はあえて、卑下しなかったが、べつに尊大に構えもしなかった。雲長関羽の礼に対して、当り前に礼を返しながら、

「ご丁寧に。……どうも申し遅れました。私は、楼桑村に永らく住む百姓の劉玄徳という者ですが、かねて、蟠桃河の上流の村に、醇風良俗の桃源があると聞きました。