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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

吉川英治『三国志(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志、三国志。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 页

青空文庫

三

三

年齢からいえば、関羽がいちばん年上であり、次が劉備、その次が張飛という順になるのであるが、義約のうえの義兄弟だから年順をふむ必要はないとあって、「長兄には、どうか、あなたがなって下さい。それでないと、張飛の我ままにも、おさえが利きませんから」と、関羽がいった。

張飛も、ともども、

「それは是非、そうありたい。いやだといっても、二人して、長兄長兄と崇めてしまうからいい」

劉備は強いて拒まなかった。そこで三名は、鼎座して、将来の理想をのべ、刎頸の誓いをかため、やがて壇をさがって桃下の卓を囲んだ。

「では、永く」

「変るまいぞ」

「変らじ」

と、兄弟の杯を交わし、そして、三人一体、協力して国家に報じ、下万民の塗炭の苦を救うをもって、大丈夫の生涯とせんと申し合った。

張飛は、すこし酔うてきたとみえて、声を大にし、杯を高く挙げて、

「ああ、こんな吉日はない。実に愉快だ。再び天にいう。われらここにあるの三名。同年同月同日に生まるるを希わず、願わくば同年同月同日に死なん」

と、呶鳴った。そして、

「飲もう。大いに、きょうは飲もう――ではありませんか」

などと、劉備の杯へも、やたらに酒をついだ。