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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

吉川英治『三国志(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志、三国志。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 页

青空文庫

二

支那を拓いた漢民族も、その沙の来る亜細亜の山岳を越えてきた。そして黄河の流れに添いつつ次第にふえ、苗族という未開人を追って、農業を拓き、産業を興し、ここに何千年の文化を植えてきたものだった。

「ご先祖さま、みていて下さいまし。いやこの劉備を、鞭打って下さい。劉備はきっと、漢の民を興します。漢民族の血と平和を守ります」

天へ向って誓うように、劉備青年は、空を拝していた。

するとすぐ後ろへ、誰か突っ立って、彼の頭からどなった。

「うさんな奴だ。やいっ、汝は、黄巾賊の仲間だろう?」

二

劉備は、おどろいて、何者かと振りかえった。

咎めた者は、

「どこから来たっ」と、彼の襟がみをもう用捨なくつかんでいた。

「……?」

見ると、役人であろう、胸に県の吏章をつけている。近頃は物騒な世の中なので、地方の小役人までが、平常でもみな武装していた。二人のうち一名は鉄弓を持ち、一名は半月槍をかかえていた。

「県の者です」

劉備青年が答えると、

「※(「さんずい+(冢-冖)」、第3水準1-86-80)県はどこか」と、たたみかけていう。

「はい、※(「さんずい+(冢-冖)」、第3水準1-86-80)県の楼桑村(現在・京広線の北京―保定間)の生れで、今でも母と共に、楼桑村に住んでおります」