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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
吉川英治『三国志(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志、三国志。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 页
三
すでに大将を失った江東の兵は戦うも力はなく、打たるる者数知れなかった。
漢江の岸に、兵船をそろえていた船手方の黄蓋は、逃げくずれてきた味方に、大将の不慮の死を知って、大いに憤り、
「いでや、主君の弔合戦」
とばかり、船から兵をあげて、折りから追撃して来た敵の黄祖軍に当り、入り乱れて戦ったが、怒れる黄蓋は、獅子奮迅して、敵将黄祖を、乱軍のなかに生擒って、いささか鬱憤をはらした。
また。
程普は、孫堅の子、孫策を扶けて襄陽城外から漢江まで無二無三逃げて来たが、それを見かけた呂公が、
「よい獲物」とばかり孫策を狙って、追撃して来たので、程普は、
「讐の片割れ、見捨てては去れぬ」と、引っ返して渡り合い、孫策もまた、槍をすぐって程普を助けたので、呂公はたちまち、馬より斬って落されて、その首を授けてしまった。
三
両軍の戦うおめき声は、暁になって、ようやくやんだ。
何分この夜の激戦は、双方ともなんの作戦も統御もなく、一波が万波をよび、混乱が混乱を招いて、闇夜に入り乱れての乱軍だったので、夜が明けてみると、相互の死傷は驚くべき数にのぼっていた。
劉表の軍勢は、城内にひきあげ、呉軍は漢水方面にひき退いた。