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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

吉川英治『三国志(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志、三国志。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 页

青空文庫

二

帝の内意をたしかめると、楊彪は秘策を胸にねりながら、わが邸へ帰って行った。帰るとすぐ、彼は妻の室へはいって、

「どうだな。この頃は、郭の令夫人とも、時々お目にかかるかね。……おまえたち奥さん連ばかりで、よく色々な会があるとのことだが」

と、両手を妻の肩にのせながら、いつになく優しい良人になって云った。

二

楊彪の妻は怪しんで、良人を揶揄した。

「あなた。どうしたんですか、いったい今日は」

「なにが?」

「だって、常には、私に対して、こんなに機嫌をとるあなたではありませんもの」

「あははは」

「かえって、気味が悪い」

「そうかい」

「なにかわたしに、お頼みごとでもあるんでしょ、きっと」

「さすがは、おれの妻だ。実はその通り、おまえの力を借りたいことがあるのだが」

「どんなことですか」

「郭※(「さんずい+巳」、第3水準1-86-50)の夫人は、おまえに負けない嫉妬やきだというはなしだが」

「あら、いつ私が、嫉妬なんぞやきましたか」

「だからさ、おまえのことじゃないよ。郭※(「さんずい+巳」、第3水準1-86-50)夫人が――といっているじゃないか」

「あんな嫉妬深い奥さんと一緒にされてはたまりませんからね」