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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

吉川英治『三国志(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志、三国志。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 页

青空文庫

三

王允の家に伝わる七宝の名刀を譲りうけて、董相国を刺すと誓って帰った曹操は、その夜、剣を抱いて床に横たわり、果たしてどんな夢を描いていたろうか。

三

その翌日である。

曹操は、いつものように丞相府へ出仕した。

「相国はどちらにおいでか」

と、小役人に訊ねると、

「ただ今、小閣へ入られて、書院でご休息になっている」

とのことなので、彼は直ちにそこへ行って、挨拶をした。董相国は、牀の上に身を投げだして、茶をのんでいる様子。側には、屹と、呂布が侍立していた。

「出仕が遅いじゃないか」

曹操の顔を見るや否や、董卓はそういって咎めた。

実際、陽はすでに三竿、丞相府の各庁でも、みなひと仕事すまして午の休息をしている時分だった。

「恐れいります。なにぶん、私の持ち馬は痩せおとろえた老馬で道が遅いものですから」

「良い馬を持たぬのか」

「はい。薄給の身ですから、良馬は望んでもなかなか購えません」

「呂布」と、董卓は振り向いて、

「わしの厩から、どれか手ごろなのを一頭選んできて、曹操につかわせ」

「はっ」

呂布は、閣の外へ出て行った。

曹操は、彼が去ったので、

――しめた!

と、心は躍りはやったが、董卓とても、武勇はあり大力の持主である。