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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

吉川英治『三国志(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志、三国志。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 页

青空文庫

それは彼自身を慰める言葉でもあった。

その代り、県尉の任についてからも、玄徳は、彼らを下役のようには使わなかった。共に貧しきにおり、夜も床を同じゅうして寝た。

するとやがて、河北の野に芽ぐみだした春とともに、

「天子の使いこの地に来る」

と、伝えられた。

勅使の使命は、

「このたび、黄巾の賊を平定したるに、軍功ありといつわりて、政廟の内縁などたのみ、みだりに官爵をうけ或いは、功ありと自称して、州都に私威を振舞う者多く聞え、よくよく、正邪を糺さるべし」

という詔を奉じて下向してきた者であった。

そういう沙汰が、役所へ達しられてから間もなく、この安喜県へも、督郵が下って来た。

玄徳らは、さっそく関羽、張飛などを従えて、督郵の行列を道に出迎えた。

何しろ、使いは、地方巡察の勅を奉じてきた大官であるから、玄徳たちは、地に坐して、最高の礼をとった。

すると、馬上の督郵は、

「ここか安喜県とは。ひどい田舎だな。何、県城はないのか。役所はどこだ。県尉を呼べ。今夜の旅館はどこか、案内させて、ひとまずそこで休息しよう」

と、いいながら、傲然と、そこらを見廻した。

四

勅使督郵の人もなげな傲慢さを眺めて、