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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

吉川英治『三国志(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志、三国志。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 页

青空文庫

「なんともお気の毒じゃが。……なお、落着く先にお心当りもなければ、わしの信じる人物で安心のなる所へご紹介もして上げますから」

劉恢は、そういって、戻って行った。

後で、二人は顔見あわせて、

「玄徳様と芙蓉娘の仲を、主もさとってきて、これはいかんと、急にあんな口実をいってきたのではあるまいか」

「さあ。どうとも知れぬ」

「しかし、いい機だ」

「そうだ。玄徳様のためには至極いいことだ」

翌朝。二人はさっそく、「云々のわけですが」と、玄徳に主の旨を伝えて、善後策をはかった。

すると玄徳は、一時は、はっとした顔色だったが、直ぐうつ向いた眼ざしをきっとあげて、

「立退こう。恩人の劉大人にご迷惑をかけてもならぬし、自分もいつまで安閑とここにいる気もなかったところだから」と、いった。

そういう玄徳の面には、深く現在の自身を反省しているらしい容子が見えた。

そこで関羽は、思いきって、こういってみた。

「――ですが、お名残り惜しくはありませんか、この家の深窓の佳人に」

玄徳は微笑のうちにも、幾分か羞恥の色をたたえながら、

「否とよ、恋は路傍の花」

と、答えた。

その一言に、

「さすがは」