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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

吉川英治『三国志(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志、三国志。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 页

青空文庫

とのことであった。

「さてこそ」と、董卓は、怒気のみなぎった顔に、朱をそそいで云った。

「小才のきく奴と、日頃、恩をほどこして、目をかけてやった予の寵愛につけ上がり、予にそむくとは八ツ裂きにしても飽きたらん匹夫だ。李儒っ――」

「はっ」

「彼の人相服装を画かせ、諸国へ写しを配布して、厳重に布令をまわせ」

「承知しました」

「もし、曹操を生擒ってきた者あらば、万戸侯に封じ、その首を丞相府に献じくる者には、千金の賞を与えるであろうと」

「すぐ手配しましょう」

李儒が退がりかけると、

「待て。それから」と早口に、董卓はなお、言葉をつけ加えた。

「この細工は、思うに、白面郎の曹操一人だけの仕事ではなかろう。きっとほかにも、同謀の与類があるに相違ない」

「もちろんでしょう」

「なおもって、重大事だ。曹操への手配や追手にばかり気を取られずに一方、都下の与類を虱つぶしに詮議して、引っ捕えたら拷問にかけろ」

「はっ、その辺も、抜かりなく急速に手を廻しましょう」

李儒は大股に去って、捕囚庁の吏人を呼びあつめ、物々しい活動の指令を発していった。