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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

吉川英治『三国志(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志、三国志。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 页

青空文庫

それは違うものであった。

けれど今は、一蓮托生の道づれである。議論していられない。

二人は、闇へ馳けた。

そして、林の中につないでおいた駒を解き、飛び乗るが早いか、二里あまりも逃げのびてきた。

――と、彼方から、驢に二箇の酒瓶を結びつけてくる者があった。近づき合うにつれて、ぷーんと芳熟した果実のよい匂いが感じられた。腕には、果物の籠も掛けているのだった。

「おや、お客人ではないか」

それは今、隣村から帰って来た呂伯奢であったのである。

曹操は、まずい所で会ったと思ったが、あわてて、

「やあ、ご主人か。実は、きょうの昼間、これへ来る途中で寄った茶店に、大事な品を忘れたので、急に思い出して、これから取りに行くところです」

「それなら、家の召使いをやればよいに」

「いやいや、馬でひと鞭当てれば、造作もありませんから」

「では、お早く行っておいでなさい。家の者に、猪を屠って、料理しておくようにいっておきましたし、酒もすてきな美酒をさがして、手に入れてきましたからね」

「は、は、すぐ戻ってきます」

曹操は、返辞もそこそこに、馬に鞭打って呂伯奢と別れた。

そして四、五町ほど来たが、急に馬を止め、