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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
吉川英治『三国志(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志、三国志。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 页
そこで、父上にも、ひと肌ぬいでいただきたいんですが」と、いうのである。
父の曹嵩も、
「ウーム……。偉いことをしでかして来おったな」
と、呆れ顔に、呻いてばかりいたが、元来、幼少から兄弟中でいちばん可愛がっている曹操のことなので、
「どうかしてくれって、どうすればよいのじゃ」と、叱言も出なかった。
「軍費が要り用なんです」
「軍費といったら、わしの家のこればかしな財産では、いくらの兵も養えまいが」
「ですから、父上のお顔で、富豪を紹介して下さい。曹家は、財産こそないが、遠くは夏侯氏の流れを汲み、漢の丞相曹参の末流です。この名門の名を利用して、富豪から金を出させて下さい」
「じゃあ、衛弘に話してみるさ」
「衛弘って誰ですか」
「河南でも一、二を争う財産家だがね」
「じゃあ、父上が聘んで、一日、酒宴を設けてくれませんか」
「おまえのいうことは、なんでも簡単だな」
「大きな仕事を手軽にやってのけるのが、大事を成す秘訣ですよ」
父子は、日を定めて、衛弘をわが邸に招待した。
衛弘は、曹操をながめて、
「都へ行っていたと聞いていたが、いつのまにか、よい青年になったなあ」
などといった。