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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
吉川英治『三国志(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志、三国志。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 页
て来たわけですが」
「何を、ばかな。――董卓は狂乱などいたしてはおらん。予の目を偸んで、白昼、貂蝉に戯れているところを、予に見つけられたので、狼狽のあまり、そんなことを叫んで逃げ失せたのだろう」
「道理で、いつになく、顔色も失って、ひどく狼狽の態でしたが」
「すぐ、引っ捕えて来い。呂布の首を刎ねてくれる」
「ま。そうお怒りにならないで、太師にも少し落着いて下さい」
李儒は、彼の沓を拾って、彼の足もとへ揃えた。
そして、閣の書院へ伴い、座下に降って、再拝しながら、
「ただ今は、過ちとはいえ、太師のお体を突き倒し、罪、死に値します」
と、詫び入った。
董卓はなお、怒気の冷めぬ顔を、横に振って、
「そんなことはどうでもよい。速やかに、呂布を召捕って来て、予に、呂布の首を見せい」
といった。
李儒は、あくまで冷静であった。董卓が、怒るのを、あたかも痴児の囈言のように、苦笑のうちに聞き流して、
「恐れながら、それはよろしくありません。呂布の首を刎ねなさるのは、ご自身の頸へご自身で刃を当てるにも等しいことです」と、諫めた。
四
「なぜ悪いかっ。なぜ、不義者の成敗をするのが、よろしくないか」