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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

吉川英治『三国志(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志、三国志。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 页

青空文庫

迎えをうけて、曹操の父親の曹嵩は、夢かとばかり歓んだ。それと共に、周囲へ向って、

「それみろ」と、曹嵩の息子自慢はたいへんなものだった。

「あれの叔父貴も、親類どもも、曹操が少年時分には行く末が案じられる不良だなどと、口をきわめて、悪く云いおったが――なアに、あいつは見所があるよと、大まかに許していたのは、わしばかりじゃった。やはりわしの眼には狂いがなかったんじゃ」

落ちぶれても、一家族四十何人に、召使いも百人からいた。それに家財道具を、百余輛の車につんで、曹嵩一家は、早速、州へ向って出発した。

折から秋の半ばだった。

「楓林停車」という南画の画題そのままな旅行だった。老父は時おり、紅葉の下に車を停めさせて、

「こんな詩ができたがどうじゃ。――ひとつ曹操に会ったら見せてやろう」

などと興じていた。

途中、徐州(江蘇省・徐州)まで来ると、太守陶謙が、わざわざ自身、郡境まで出迎えに出ていた。そして、

「ぜひ、こよいは城内で」と、徐州城に迎え、二日にわたって下へもおかないほど歓待した。

「一国の太守が、老いぼれのわしを、こんなに待遇するはずはない。曹操が偉いからだ。