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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

吉川英治『三国志(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志、三国志。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 页

青空文庫

「なぜ」

「なぜでも」

「分らんやつじゃな」

「今に分りましょう。古人も訓えております。両雄ならび立たずです。その上、個人的にも、面白くないことが肚にあるんですもの。――もしあなたが、酒宴の席で、毒害でもされたら私たちはどうなりましょう」

「はははは。なにかおまえは、勘ちがいしてるんじゃろ」

「なんでもようございますから、今夜は行かないで下さい。ね、あなた、お願いですから」

果ては、胸にすがって、泣かれたりしたので、郭も、振りもぎっても行かれず、遂に、その夜の招宴には、欠席してしまった。

――と、次の日李の邸からわざわざ料理や引出物を、使いに持たせて贈って来た。厨房を通して受け取った郭※(「さんずい+巳」、第3水準1-86-50)の妻は、わざとその一品の中に、毒を入れて良人の前へ持って来た。

郭※(「さんずい+巳」、第3水準1-86-50)は何気なく、

「美味そうだな」と、箸を取りかけると、夫人はその手を振りのけて、

「大事なお体なのに、他家から来た喰べ物を、毒味もせずに召上がるなんて、飛んでもない」

と、その箸をもって、料理の一品をはさんで、庭面へ投げやると、そこにいた飼犬が、とびついて喰べてしまった。