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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
吉川英治『三国志(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志、三国志。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 页
城内は、埃ッぽい。
雨が久しくなかったので、沓の裏がぽくぽくする。劉備は、問屋から銭を受け取って、脂光りのしている市の軒なみを見て歩いていた。
蓮根の菓子があった。劉備はそれを少し買い求めた。――けれど少し歩いてから、
「蓮根は、母の持病に悪いのじゃないか」と、取換えに戻ろうかと迷っていた。
がやがやと沢山な人が辻に集まっている。いつもそこは、野鴨の丸揚げや餅など売っている場所なので、その混雑かと思うていたが、ふと見ると、大勢の頭の上に、高々と、立札が見えている。
「何だろ?」
彼も、好奇にかられて、人々のあいだから高札を仰いだ。
見ると――
遍く天下に義勇の士を募る
という布告の文であった。
黄巾の匪、諸州に蜂起してより、年々の害、鬼畜の毒、惨として蒼生に青田なし。
今にして、鬼賊を誅せずんば、天下知るべきのみ。
太守劉焉、遂に、子民の泣哭に奮って討伐の天鼓を鳴らさんとす。故に、隠れたる草廬の君子、野に潜むの義人、旗下に参ぜよ。
欣然、各子の武勇に依って、府に迎えん。
郡校尉鄒靖
「なんだね、これは」
「兵隊を募っているのさ」
「ああ、兵隊か」
「どうだ、志願して行って、ひと働きしては」