轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
「文藝春秋」1960(昭和35)年1月号~1961(昭和36)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 160,888 字 · 317 页
どっちを見てもすっかりようすが変っていた。川沿いにあった草原や荒地には、すっかり家が建ち並び、川の中央にある小さな妙見島にも工場の建物が犇いている。――蒸気河岸にはコンクリートの高い堤防がめぐらされ、地盛りをしたために、船宿や人家は道から一メートル以上も低くなってしまった。
「ああ、千本の店がある」と私は云った、「あれが長のいた船宿の千本だよ」
同伴した二人は「青べか物語」を読んでいたので、船宿「千本」と、こまっちゃくれた少年の長を知ってい、私の感動をすなおに受けいれてくれるようであった。まず「千本」を訪ねてみよう、私は車を蒸気河岸へ廻らせながら、どうか長がいてくれるようにと、それがそらだのみだということを覚悟しながら、心の中で熱心に祈った。
「待てよ」と私は思い直して云った、「先にぼくのいた家を見ておこう、車をそっちへやってくれないか」
車を蒸気河岸とは反対のほうへ、ゆっくりと走らせた。ごったくやの「喜世川」、次に「澄川」などの家がみつかったが、小料理の看板は出ていなかった。貧しげな小さい家がごたごたと並び、子供たちの遊んでいる土堤にはあまり草もなかった。