轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
「文藝春秋」1960(昭和35)年1月号~1961(昭和36)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 160,888 字 · 317 页
そして、源太がようやく浮きあがってみると、割れた船の舳先のほうだけ、ゆらゆらと波の上にゆれていた。発動機のある艫のほうは沈んでしまったのだろう、大蝶丸も霧の中に隠れ、エキゾスの音もはるかに遠ざかっていた。
源太は船宿「千本」の忠なあこに発見され、その舟に助けられて帰った。
「あの穴場は深えからな」と忠なあこは話を聞いて云った、「とても機械を揚げるこたあ無理だな」
そして大蝶丸のことには触れなかった。大蝶丸は町でいちばん大きな缶詰工場の持ち船であり、「大蝶」の旦那は町で指折りの顔役であった。
「よし」と源太は自分に誓った、「うんとふんだくってくれるぞ」
彼はすぐ掛合いにいった。しかし「大蝶」では相手にしなかった。大蝶の扶原支配人は穏やかに首を振って、そんなことはないと云った。
「大蝶丸は缶詰を東京まで積んでいって、三時間ばかりめえ帰って来ただ」と扶原支配人はゆっくりと云った、「あの船長は腕っこきで、そんな事故を起こしたことは一度もねえし、起こしたとすればちゃんと報告するだよ、海事裁判法(?)でそう規定されてるだからな、いしの云うようなことはありっこねえよ」