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めいじせそうひゃくわ
明治世相百話
山本 笑月
線上閱讀山本 笑月《明治世相百話(めいじせそうひゃくわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 128,862 字 · 251 頁
ともすると六区の池に投身があったり、子供が落ちたり、甚だ不縁起とあって、明治二十四、五年頃、池中へ大伝馬を泛べ、衆僧を招いて盛んにお施餓鬼を行ったくらいだ。
施餓鬼は結構だが、それだけでは人気もいかがかと、その後陽気な趣向を思いついたのが納涼演芸会、顔役屋根屋弥吉などの肝煎りでひと夏にぎやかに興行、池の周囲に三カ所の葭簀張りの桟敷を設け、大小の提灯はなやかに景気をつけ、池中へは小伝馬三艘、これへ影芝居、うつし絵、落語手品等の演芸者が乗り込み、かわるがわる桟敷の前へ来て演ずる趣向。なにがさて公園始まって以来の珍風景に相当の人気、夜の七時頃に開演の太鼓を打ち込むと、池のほとりに待ち構えた納涼人種がぞろぞろ押し寄せて桟敷は満員。
景気がよいので付近には夜商人が店を列ね、池中にも田舟が二艘、舳へ氷水、御菓子などと書いた赤行灯を灯してうろうろ船の姿も風情を添えた。そこで肝腎の演芸はというと、その頃のこととて前記の旧式揃い、まず影芝居は鳴物入りで役者の声色、ちょっと纏まった掛合いセリフの一場など、二、三人の声色使いが、幕を張った蔭で演ずる。出入りの鳴物から合方の三味線、本芝居そのままの気分を漂わす、今のラジオの脚本朗読会。