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めいじせそうひゃくわ

明治世相百話

山本 笑月

線上閱讀山本 笑月《明治世相百話(めいじせそうひゃくわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 128,862 字 · 251 頁

青空文庫

芸を崩す名人越路

魚がし、米屋町を筆頭に、よし町、新橋の花柳界、見巧者の六二連、水魚連、そのほか三升連、見連、松駒連といったような大連から町内の臨時連まで数知れず、多くは平土間に陣取ってカベス(菓子、弁当、鮨)のお当てがい、役者の手拭や花かんざしをもらって嬉しそう。よき時分に男衆や世話人が花道へ並んで、「へい、何々御連中さまお手を拝借」と号令、一同神妙に総じめのシャンシャンシャン、こんな空気も木挽町の初期時代で終り。

六二連といえば見巧者の随一、幹事の高須高燕、富田砂燕、梅素玄魚の三名が黒表紙の『評判記』を出したのは明治十一年から二十年まで。これが劇評の始まりで、役者の位付も載せ、旧式ながら権威のあったもの。この連中も平土間で総見、いつも小一近くにいる高須翁の白髪頭が目に立った。玄魚は是真風の絵をかき、初めて引幕に上品な花鳥の図画を現わした率先者、つづいて永井素岳氏も得意の彩筆を揮った。

芸を崩す名人越路

古老政太夫が「諭告」のこと

東京の義太夫界は近年あまり振わぬが、明治三十年前後、即ち綾瀬太夫在世の頃までは、綾瀬はじめ播磨、津賀、生駒、つづいて女義の小清、素行、小土佐、綾之助など輩出し、そこへ大阪から越路(摂津大掾)、大隅、組太夫、長広、呂昇などの名流がおりおり上京、義太夫界は全盛であった。