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めいじせそうひゃくわ
明治世相百話
山本 笑月
線上閱讀山本 笑月《明治世相百話(めいじせそうひゃくわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 128,862 字 · 251 頁
能楽趣味の権化
能楽趣味の権化
謡曲文学の大和田建樹氏
鉄道唱歌で有名な国文の大家大和田建樹氏、謡曲文学も第一人者で、能と謡にかけては実際素人離れ、観世先々代清孝の門下、小鼓は大倉六蔵、太鼓は石井一斎など当時の名人に仕込まれ、明治二十年頃には早くも舞台に立った素人能の先輩、能評も猿丸太夫の名を以て聞え、まず能楽趣味の権化みたい。
体重二十二、三貫、堂々たる体格の持主で、丸々と肥った恰好は五月人形の金太郎そのまま、能見物の折など窮屈そうに思われたが、御主人泰然として膝も崩さず、謡曲で鍛えた行儀のよさ、痩せ男の我々がたちまちしびれを切らして大苦しみ、そのうち、こちらも先生の趣味にかぶれて謡の一つも呻ってみたくなり、同志三、四人申し合わせて、先生に謡曲の教授を乞うた。
好きな道とて学校勤めの忙しい中に一週二回、わざわざ知人宅まで出張。もちろん月謝など差し上げない。夕飯代りに鰻どん一つとお銚子一本、ペロリと平げてすぐにお稽古。謡は有名の美声で、体格相当に幅もあり量もあり、初心の我々蚊の鳴くような声と対照すこぶる妙。先生それにはお構いなく、さっさと謡って今日はここまでだ、と打ち切る。