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めいじせそうひゃくわ

明治世相百話

山本 笑月

線上閱讀山本 笑月《明治世相百話(めいじせそうひゃくわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 128,862 字 · 251 頁

青空文庫

乗り物の閉口時代

頃には、勧工場という名目をどなたも全く御失念。

乗り物の閉口時代

お急ぎの方は歩いて下さい

自動車洪水の今日、ちょっと想像の出来ぬ明治初年の乗り物話、人力車もガラガラの金輪で、背中一面ぼたんに唐獅子などの絵を描いたのも一、二度は乗った。普通は粗末な黒塗りで一人乗りと合箱、芸者と合乗りなどの図々しいのもあって、当時「合乗り幌かけ、テケレッツノパア」と唄ったくらい。

追い追い改良、つやのよい黒塗り金紋、ひき子も黒の法被に大黒帽などと進歩したが、辻待ちなどには随分小汚ない古車も多く、心棒にわらじが一足ぶら下って鉄の輪を二つ、これが走りだすとジリンジリン鳴る。色のさめた赤毛布の膝かけ、古半天を裏返しに着て素足にわらじばき、かじ棒を無性にあげてヨタヨタ、全くみじめだ。しかし宿車が出来て、これは高台という腰かけの高い車、悪くすると飛びだしそうな工合、ひき子も元気の若者ぞろい、ネジ鉢巻きで全速力、ことに綱っぴきは威勢よく、提灯を振り回してアラアラッと勇ましい掛け声、吉原通いの馬道などは毎晩物凄いくらい、十五、六年頃を盛りに二十五、六年まで、その後ゴム輪になったが最初は丸ゴム、次に今日の空気入りタイヤ。