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めいじせそうひゃくわ

明治世相百話

山本 笑月

線上閱讀山本 笑月《明治世相百話(めいじせそうひゃくわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 128,862 字 · 251 頁

青空文庫

新式の自転車がポツポツ市中に見えたのは明治三十一、二年頃、最初の輸入品だけに価格も高く、英国製スイフトが二百円以上、米国製デートン号百五十円内外、名の知れぬ安物でも七、八十円、随って乗り手もハイカラの中年紳士が多く、実用半分のお慰み半分で、我々テク党を羨ましがらせたものだ。

そこで私も職業上の訪問に利用してみたい念願、幸い数寄屋橋内へ唐沢という知人が自転車屋を開業、さっそく一台借り込んで、今の府農工銀行裏にあたる、川岸へ通ずる道路で内々のお稽古。

当時丸の内はまだ大部分空地で草茫々、真っ昼間でもろくに人通りはなし、ことに横道は一層の閑寂、たった一人誰に気兼ねもなく、落ちては乗り、乗っては落ち、こいつ案外楽じゃないと汗だくの練習振り。

ところが有楽町交番の若い巡査、これが自転車乗りを目の敵、早速やって来て、人ッ子一人いない場所でも「道路であるから稽古相成らん」と厳命、しかし草ッ原は凸凹で稽古ができぬ、勝手ながら巡査君が立ち去るとまた逆戻り、それと知ってまたまた襲って来る。急いで草ッ原へ逃げ込む、果ては双方意地ずくでいがみ合いつつ、どうやらよたよた乗れることになり、桜田門まで遠征、それが途中三度も下りて休憩という始末、いやはや初期のサイクリストあんまり自慢にならぬ。