Japanische Klassiker mit Furigana
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にっき
日記
宮本 百合子
Lesen Sie 日記 (にっき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.285 Zeichen · 204 Bildschirme
八月二十八日
自分はAが「休中、すっかり旅行で費してしまう。自分の為に来たのでもないから」と云ったのにすっかり立腹した。「自分の為でなくていやなら、すぐおかえりになるといいわ。始めから来て下さらなくってよかったのだ」私独りで留ろうと云ってもAはそれも不安らしい。もう決してAと一緒に旅行はしまい。ゆっくり風景でも、気分でも味いたのしんで旅をすることは出来ないのだ。いやだから自分も二十八日に立って安積へ行くことにきめた。朗らかにひとも自分も置けない人。
八月二十八日(月曜)曇
よい塩梅に日が出て居る。黒磯の停車場で、Aは上り、自分は下りで、安積に来る。那須の十日間、私の心は一日も晴やかで、のびのびとして居なかった。どうかして、新鮮な、快い雰囲気にふれたいと云う希望が、まるで強い、スエ子や英男の溌溂とした姿が、自分に云い難い期待を感じさせた。子供の無邪気な大元気ででもなければ、どうしたって、此心全体を包んだ苦しい憂鬱がはれるものではない。
二時間の汽車、
皆、思いがけないのですっかりよろこんで呉れた。
那須の風景を見た眼で来ると、此処の景色の平凡なのに心付き驚いた。那須の篠原に満ち流れて来る濃い霧、火山の色、灌木のスロープ。