Japanische Klassiker mit Furigana
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にっき
日記
宮本 百合子
Lesen Sie 日記 (にっき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.285 Zeichen · 204 Bildschirme
四月十八日
小さい、悪意のないきのこの如し。
せっかく、楽しみにして来た東京も、あまり過度に歩かせられるので、つかれ、ちっとも楽しくはないらしい。
午後三越に行く。あっちらこっちら歩き、種々の、人間の着るのかと思う程あでやかな衣類を見る。自分は『ファウスト』、たけをさんには教育に関する本、教材になりそうなのを一つ買う。
四月十八日(火曜)晴
何と云うひどい雷だったのか。夜中で半分夢中だったからあの位、胸をドキドキさせた丈ですんだが若し昼間か夕刻で、稲妻とあの音とを交り交りにきかされたら、全く魂も身にそわずと云う有様になったろう。八時に家を出、たけをさんを上野まで送って行く。行ったらもう皆ついて居、立つ迄二時間、自分も待って居た。
自分が立つのではなく、ステーションに居るのは全く面白い見ものだ。例えば、車夫とか赤帽とかに、まるで支配される者も居れば、相当の心力を示して自分が使って居るものもある。まごつくものの表情、ちらりと人を見る顔、女の、きらびやかな、しかし深みは一向にない風。
帰途電車の中で「ファウスト」をよみ始め、すっかり感興を覚えインスパイアされる。もと一寸よんで、つまらなかったのは、こちらがあれを実感と照し合わす丈の内容を持ち合わせなかったからだ。