Japanische Klassiker mit Furigana
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にっき
日記
宮本 百合子
Lesen Sie 日記 (にっき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.285 Zeichen · 204 Bildschirme
七月十八日
先、自分は人間が、物質的独立をすべきより以上のことがあると信じて居た。つまり、自分が芸術家である以上、よい作品を作るなら、どんな人の生活的負担となって居ても恥るべきではない、と思って居たのだ。純粋に、人間の生活が第一義を目ざす時代になれば、それで何の不快もなかろう。然し、今日の時代、自分は、物質的の自立は、つまり魂、理想の自立と一致することを感じ始めたのだ。今日の社会ではそうでなければ、自由に我心で生活して行くことは出来ない。一方から見れば、浅間しいことだ。が、事実である。Aのような人間に対しては特に其点を強く感じる。
日常の生活を、自分の信ずる方向、意志で営んで居ないと不安で、仕事の出来ないのは自分が我ままで弱小だと云うことか?
自分の見ようとして居た或人生の実相が、事実は認め得たと思った真相とは遙に異ったものである場合、自分が見損ったと云うことは、見そこなう自分の愚、短見を自覚したと云うことだ。非難、失望は、反省となって自分にも反って来る。けれども、自分はその落切った処から、新たな道を踏出せる。それを、平気な、重い、変化し得ない仲間の重りで引止められる時、自分は、更によき一歩のために、その鎖を一撃、苦しくとも断たないではいけないのではあるまいか。