Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にっき

日記

宮本 百合子

Lesen Sie 日記 (にっき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.285 Zeichen · 204 Bildschirme

Aozora Bunko

十一月八日

十時半頃。まだ見えないと云う。種々洋服の話などをして居ると、十二時頃やっと見える。玄関で、張の強いはっきりした声をきいた時、自分はうれしい気持がした。

大きな袋に編棒を入れて居られるのが見える。国元から母上が来て居られる由、雑談をする時が増したので、その間に編物をすると云われる。

五丁目からゆっくり歩いて家まで来、三時頃まで話す。自分が時によれば「私は此が好きですわ」とさえ云われないときがあると云って、涙を出された。自分は深く動かされ、自分の持つ種々な不満などは、実に万人が万人もつもので、その為に苦しみ、種々することを、何の誇るべき価値もないと感じた。苦しむことと苦しみに圧せらるることは違う。一緒に日本橋まで行く。めったに外に出ないらしく窓から外を見て居る様子に自分は深い愛を覚えた。

十一月八日(水曜)曇

きのうの話、野上さんはギリシア神話からプロメシウスの話をとってヘレニズムとクリスチャニズムとの対抗を描きたいと思い着手して居られる由。

自分のは同じ太古の神話? からとってももっとはるかに人間的なもの。面白し。

午後から雨しきりに降る。中を日本橋までゆき、それから石本さんのところへゆく。